神話から見る「日本」という名前


結論を先に述べると、『古事記』の記述では「日本」という名前が出てきません。 この記事では『古事記』の上巻、つまり神話の部分でこの国がどのような名前を持っていたかを扱います。

国生みの段の記述では、まず夫婦神であるイザナギとイザナミが初めに八つの島を生んだことからこの国は

「大八島国(おおやしまのくに)」

となりました。次にイザナギが黄泉の国から戻る際に、

「葦原中国(あしはらのなかつくに)」

と言う呼称が用いられています。 今度は出雲の国譲りの段で、アマテラスが地上世界を

 「豊葦原之千秋長五百秋水穂国(とよあしはらのちあきのながいおあきのみずほのくに)」 

と呼んでいます。 この名前は、天上世界「高天原(たかまのはら)」に対し地上世界を表す「葦原中国」を装飾した言葉です。 意味は「いつまでもいつまでも穀物の実る豊かな国」です。


参考文献

山口佳紀、神野志隆光校注・訳『古事記(新編日本古典文学全集)』 小学館
竹田恒泰『現代語古事記』学研
こうの史代『ぼおるぺん古事記一、二、三』 平凡社

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